消えるスタッフ

  まだまだ、現場1年生の頃のお話し・・・。

 その日は、6T分の引っ越しで先輩の4T車と僕の2T車で2台現場。
 作業人数は5人。 ベテランの先輩2人と僕、新人2人だ。そのうちの1人は僕の助手席にいる。

 現場に着く前の移動中に、伝票を確認しながら ”現場のイメージ” や ”段取り” を考える。
 階段5階からの引っ越し・・・。  6T分・・・。   季節は夏・・・。 気温高め・・・。

 正直、5階からの6T分の引っ越しを、メインの3人でやるのは

      きつい! そーとーきつい!

 新人君にどれだけ無理をさせずに、動かすか。 これに尽きる・・・。
 しかし、引っ越しをなめてる子にはやっぱりきつい。 

 70箱あるとして、2個ずつ持って35往復。しかも、走ってだ。 3個持っても20往復チョッと。
 体育会系の基礎トレよりきつい・・・。

 到着前に助手君の情報収集 「何日目なん? 」  「5日目です。」
         「階段の現場は今までにある?」    「初めてです。」
          「なんかスポーツしてたぁ?」      「陸上をしてた頃があります。」
 「おっ、いい感じやん!じゃあ、体力に自信あり?」  「はい! ありますよ!」

 だからといって、僕らと同じペースで階段を動ける新人君などいない。

 僕らは、現場が始まると、 ”サイボーグ” に変身するからだ・・・。

 作業開始。 先輩が家中から段ポールを3つずつ出してくる。それを僕が受け取り新人君へ、
 新人君が、 ちょっとだけ慣れた新人君Bへ、 B君が責任者の先輩に渡し、トラックへ。

 こんな流れだ! 単純に5人いるわけやから、
 1人分の動きとしては、2階分も動けば受け渡しが終わる。

 が、しかし少しすると・・・。5階で受け取った僕が2階まで降りないと新人君Aに渡せない。

 ダッシュで5階に戻り次のダンボールを3つ受け取り、下へ降りると1階までいかんと渡せない。

 「陸上部っ! 頑張らんかいっ!」     「ハイ・・・。でも、もう握力が・・・。」
 そないなると、使えなくなる。 「わかった、じゃあ先輩に言うて休憩しとき・・・。」

 自分はしんどくなるけど、お客様の荷物を落とされるほうが、もっと嫌だからだ。

 4人でしないといかんことは、よくあるし、しゃあない! と思って次の分を降ろすと、

 トラックまで行って責任者に僕が渡す状態。 「はぁぁぁぁ?」 「新人B君もダウン?」

 結局、3人で作業だ。 サイボーグの僕らにも限界がある。 

 俺も休憩したいが、現場を終わらせたいプライドもある! 

 とにかく箱物が終わるまでは、頑張った・・・。    そこで、やっと休憩・・・。

 新人君にジュースでも買ってきてもらおうと探すと、

 いない・・・。  荷物はあるが、人影が無い・・・。

 消えた・・・。 2人揃って・・・。

  ななななんて無責任な・・・。 脱走したわけですよ。 
 給料も、プライドも、自分のかばんも投げ捨てて・・・。

 事務所に無線を入れ、内容報告・・・。 先輩と一緒にお客様の所へ

 2人消えました・・・。 ごめんなさい・・・と。

 お客様の困惑した顔は、今でも覚えています・・・。

<< 体力自信あり??  引っ越し屋をなめたらいかんぜよ・・・。>>


 

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